lundi 8 mars 2010

第IV部 われわれはここに偶然いるのか? 10章 進化論の発展 (11)

2. 自己組織化

(photo source: Transition Towns WIKI)


ブライアン・グッドウィン(放送大学生物学教授)はスチュアート・カウフマン以上により複雑な構造の出現は生命の創発の性質に因るだろうと考えている。「1859年以来、自然選択と適者生存のメカニズムが地上の生命を説明する唯一の命題であるとされてきた。その起源、絶滅、適応はすべてダーウィン主義の視点から研究されてきた。しかし、種の起源や多様性を説明する他のやり方は存在する。ニュートン的世界の見方が20世紀のアインシュタインによる革命まで支配的であったように、ダーウィン主義は複雑性は生命に内在する創発の性質で、必ずしも偶然による変異と自然選択の結果ではないことを認める新しい理論に置き換わるはずである。生物は競い合うと同程度に協調し合い、利己的であると同程度に利他的で、破壊的で反復的であると同程度に創造的で遊びを好む」

ブライアン・グッドウィン自身はダーウィン以前の理性的な形態学者やダーシー・トンプソンについて触れ、さらにゲーテの復権とより質的を重んじる科学の発展を願うとまで言っている。


(photo source: Antropología, genética y cultura)


メー・ワン・ホー(放送大学生物学講師)も自己組織化の多くの支持者だけではなくマイケル・デントンと同じように、すべての還元主義的方法では捉えきれないものとして生命を見ている。「生命は全体が組織される過程である。生命は過程であり、ものでも物質の性質でも構造でもない。このように生命は生物が生き、成長し、発育し、進化するように物質とエネルギーがダイナミックに流れる中にあるはずである。したがって、『全体』とは分離されたモナドのような実体ではないことがわかる。それは自己構築と自己組織化される環境に開かれたシステムであり、外の環境に開かれ、その潜在能力が高度に再生可能な安定した形態の中に取り込まれることにより可能になる」

ここで最も重要な言葉のひとつが創発である。複雑な形態は、それが潜在的、仮想的なものであれ前もって存在するものは何一つない。複雑な形態は生命の過程から創発する。なぜなら、この創発を可能にする過程は自然そのものの中にあるからである。メー・ワン・ホーとブライアン・グッドウィンは明らかにスチュアート・カウフマンよりダーウィン主義から離れたところにいる。彼らはダーウィン主義のメカニズムが進化において主要な役割を担っていないと考えている。より複雑な形態は、選択ではなく自己組織化により自然の中に創発するのである。

哲学的レベルにおいて、自己組織化の支持者は少なくともヨーロッパでは汎神論かアニミズムに関連すると見られている。それは、この学派の科学者の大部分が汎神論的な考え方(あるいは、フランシスコ・ヴァレラのような仏教の考え方)を持っているからであり、創発の概念はアリストテレスにより与えられた意味における 「第一の動力」 や初めて創り出すためのすべて外在性を必要としなくなるからである。しかし、何人かの神学者や哲学者(ニールス・グレゲルセンやフィリップ・クレイトンなど)は、特にホワイトヘッドに触発されたプロセス神学に依拠して、創発や自己組織間についてのキリスト教的概念を展開しようとし、またこの領域における複数の考え方の存在を主張するために、テレンス・ディーコンのような汎神論の自己組織化の支持者と戦っているのは注目に値する。21世紀に自己組織化が重要なパラダイムとして避けられないことを考えると、二つの概念が近づくことには問題がありそうだが、そこにキリスト教が不在であることを彼らは望んでいない。


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